テリトリー侵犯(続き)

北千住のラーメン屋で出会ったガリ中の話の続き。

俺はこれでやっと落ち着いてラーメンが食えると思って、
安心しきっていた。
すると、ガリ中は
またしても異常な行動に出た!


それは

ラーメンをひと口食べるごとに鼻をかむ。

その回数が本当に尋常じゃない。

しかも、鼻からは
妙な機械音。

鼻水のような液体は一切出ていないのである。

その音はまるで、


車のエンジンをかける音。

ドキュキュキュキュ・・

もう、アカン・・・
そんな音をたてられた俺は、笑いをこらえようとうつむいてラーメンを食べ続けた。

すると今度は何やらブツブツ言い出した。
耳をすまして聞いてみると、

「ジャストダネ・・・」

何が!?

味?スープ?
麺?それとも他の何か?

俺はついに「クッ」っと声をもらして笑ってしまった。

それから後はその場を早く切り上げたくて必死にラーメンを食っていたので、あまり覚えていない。
今思い返してみると、その不可解な言霊は俺に向けられて放たれたのか、それとも何か一種のまじないだったのか、今となっては知る術がない。

おわり